『高輪での蕎麦会』
車に、日吉丸、紅葉館の蕎麦とキミエさんのはっとう、とちもち、平野物産・山楽の赤カブ、和泉屋の豆腐、福本屋の岩魚、葉山葵、行者ニンニク、蜂蜜(百花蜜・栃蜜)、きのこなどと、プロパンガス、清水80ℓを積み込み大沼さん宅へ向かった。途中マエタケご飯、マツタケを忘れたことに気づいたが引き返せない。
9時近くに自宅を出発して、高速道路も渋滞なく大沼宅には12時に着き、奥さんが用意してくれたお昼を頂いているうち、手伝いを約束していた娘の圭も到着した。
早速、庭先に2口のプロパンガスをセットし鍋で清水を沸かす。一番客の元NHKアナウンサーの山川静夫ご夫妻、引き続きご案内のメンバーが到着し蕎麦会のスタートとなる。
本来なら、和平さんが「日本一」と認めたキミエばぁさんに実演をお願いしているのだが、今回は舘岩で人気のある2店舗にお願いし朝蕎麦を打って頂いたものを用意した。
最初の蕎麦は都会風でごく細の紅葉館の蕎麦、続いては日吉丸の少し太めの蕎麦を茹でる。つくり手も食べる方もそれぞれに一家言を持っているから、どちらの蕎麦が美味しいなどとは言えない。蕎麦屋でバイトする娘が茹であげ、妻が蕎麦の「ぬめり」を水道水であらい、持ってきた氷で冷やした清水でしめ皿に盛った。紅葉館の蕎麦も日吉丸の蕎麦も少な目ながら一人二枚を食して頂く。炭を熾した火鉢の周りで、用意された酒のつまみもどんどん空いていく。大沼さんが用意した高価な酒と、「岩魚の骨酒」でほろ酔いとなり、皆さん満足され蕎麦会を終了できた。大沼さんとは立松さんから紹介され、和平さんが亡くなったいまもお付き合いをさせて頂いている。あらためて和平さんから多くの方々との出会いに感謝している。娘をバイト先に送り、少し遅くなって迷惑とは思ったが、帰宅途中に先日連絡を頂いた宇都宮の田崎宅へ寄り道し、お茶を頂きながら蕎麦会の報告をした。
田崎さんが「鹿沼の蕎麦会」の思い出話をした。鹿沼会場の「水」は塩素の匂いが高く、蕎麦を殺して美味くなかった。やっぱり「舘岩」で食べるのが一番だよな。
今回も80ℓ、余すほどの清水を持ち込んだ。東京の水道水も悪くは無いのだが、舘岩の蕎麦を届けたい当たり前の準備を、田崎さんから水でなく「心」を届けたと褒めの言葉を頂きながら家路についた。今回の蕎麦会も大沼さん以上に、こちらが満足させていただいた。
『紅葉前線』
湯ノ花温泉近くに別荘を持つ友常さんが土曜日に来ていた。今回はあいにく東京に出かけていたのでご一緒できなかったが、いつもなら来られた時は別荘にお邪魔して大宴会となる。この時期紅葉や蕎麦を楽しまれながら、別荘の冬支度を準備される。暖房用の薪は友人からだいぶいただいているので間に合い、ガラス窓の雪囲いだけの作業となる。紅葉が終われば何時雪が降ってもおかしくないが、生活の困るような大雪にならないことを願うばかりだ。
『著者目録から』
群馬の黒古さんから立松さんの「著者目録」データが届く。戸崎さんが「途方にくれて」の中に出版リストとしてまとめてくれているが、さらにジャンル別等々細かく分類してあり、黒古さんの手元に無い出版物は333冊のうち45冊とのこと。立松論等々和平さんに深く携わっていらっしゃるだけによく収集されていらっしゃる。立松本は、立松事務所の他、事務所が寄贈した宇都宮の南図書館に整理されているが全書とはいかない。一冊一冊の本は表紙も含め出版中の全集(31巻)とはまた違った重みがある。何度も書いているが、何につけ消費されていく現在、絶版の本を手に入れることは容易でない。ささやかな「和平文庫」にしても、同じ本が並び全出版本が並ぶのは夢の夢。そもそも立松「本」は誰が持っているのだろうか。戸崎さんや黒古さんがこれだけまとめて頂いたのだから、「全集」のまとめとして、多くの方に「立松本」を南図書館に寄贈頂き、後世に立松文学を残していきたいと考えるがどうだろうか。