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『夏休みの来訪の友人たち』

 湯ノ花温泉にほど近い場所に別荘を持つ友常ご夫妻が来訪され夕食を共にした。旦那様は昔からの飲み過ぎが祟り、体を壊されてからは一滴のアルコールも飲んでいない。さすがに三途の川にたどり着く寸前で帰ってきたのだから、少しは反省しなくては命を落としかねない。彼は茨城の進学校から早稲田へ進み、学生運動にも参加した立松世代。縁あって経営していた塾の教室も兼ね舘岩に別荘を建て20年にもなろうか。最近は頻繁に利用されていないが、私も子供たちの集まりや友人のゲストルームとして貸して頂いている。今年の夏も東京から山口ご家族の予定を入れて頂いている。友人たちの多くが子供もも大きくなり、ご夫妻、あるいは孫連れで来られるようになった。それぞれ会う機会は少なくなってはいるものの、宴を囲めばまた同じ昔話に酒が進む。今年は福島の菅野ご一家も来る予定だ。



『空のペットボトル』

 前沢集落には昔七つの水場があったようだが、今は水路洗い場脇に5つの水道が付けられている。水道水は裏山中腹からの清水を引いていて、毎年春秋に村中総出で掃除をして管理をしている。年配の方はご飯やお茶はこの清水でないと未だにダメで、町の簡易水道の利用の方が限りがある。このところ暑い日が続いていることから、「ご自由にご利用下さい。安全確認のため月一回の放射能検査も実施しています」との看板を掲げて、水場に空のペットボトルを置いている。今では水は売り物、二本汲んで行けば見学料はタダになる。見学料を頂いている分、大いに役に立っている美味い清水と思っている。


『人生に幕を引く』

 今朝ひとつ先輩の訃報が届く。先輩は地元の高校を卒業後農協に勤めていた。今で言うイケメンだったが、あまり話上手でないこともあり女性に対しても縁がなかったようだ。体の不調もあり仕事を辞めてからは両親の世話をしながら治療に専念していたが、両親を亡くされて一人の生活に疲れてしまったのか。親族も、友人も、同級生も、誰もが早い死を残念がり涙し「何か」できなかったかと思うも、本人の選択には誰しもが何も出来ないのだ。幸福な事に私には家族や多くの友人がいる。それでも年中笑顔でいれることはないのだが。せめて自分で幕ひくことなく、ささやかな人生の幕が下りるまで、順番を待ちながら生きてゆくことを先輩に伝えたい。合掌