『新年を祝う』
今年は親戚に不幸があり正月用意をすることなく新年を迎えた。
最近家族や親戚に年寄りをもっていると、年越しの宮参りも新年会に出席しなくてもよい年が年々続くことにも慣れはじめていることに恐ろしくなる。
蕎麦屋のアルバイトで年越しを忙しく過ごした娘が、寂しくなったのか正月明けに帰郷し正月の祝い無くとも、家族が全員そろい新年を迎えることができた。光則さん宅には鈴木先生がお泊りで、お客も含めての酒盛りになれば世間からみれば「門松の無い正月」である。遅い朝食をとりながら、新年の年賀状に感謝しながら、また今年一年を無事過ごせるようにと願う。
『宇都宮の友人』
正月休みを終えた娘を送りながらの帰りに、久しく会っていなかった宇都宮の「わっかの会」の会長田崎さんを訪ねた。田崎さんはここ数年体調を崩されていて通院、退院を繰り替えされているのだが、奥さんともども元気な顔を見ることが出来た。和平さんが健在の時には、年越しには篠井で餅つき、正月に新年会と和平さんを囲みながらの宴が催されて、私も参加させていただいていたものだ。最近仲間の元気印は、戸崎さん、小島さん、星野さんだけのようで、昔の写真を見ると亡くなった方が多く、アルバムも開きたくないと語られていたが、和平文庫で預かりの写真パネルで、和平さん命日2月8日近くに、宇都宮市南図書館で開催予定の写真展の時には、多くの仲間とお会いしたいものだ。
『地域の結』
正月明けに親戚の叔父が亡くなる。帰郷していた息子が救急車を呼んで対応したものの病院で息をひきとり、老衰による91歳の人生を閉じた。
二人の息子は県外に住みながら、その都度帰郷しながら親の面倒をみていたが、初めての葬式となると戸惑いが先にたつ。
私も含め、地元の親戚が集まり葬儀の段取りを相談する前に、誰が頼んだでもなく家の前はきれいに除雪され、留守をしていた叔母の周りには沢山の人が集まり、故人が病院から帰る迎いの準備がされていた。和尚、火葬場の都合が合えば、早速葬儀は動き出す。雪の事もあり遠方の親戚には電話で知らせ、近隣で執り行う事にした。
冬晴れで、今年一番の寒さの朝にもかかわらず、多くの人に見送られて葬儀は無事終えることが出来た。
独り残る叔母も、今まで以上にまた多くの方に支えられながら人生を閉じることになろうが、地域の方々の結は本当にありがたい。
『二人の命日』
記帳しなくとも忘れられない命日がある。
その一人が石塚修さん。訃報を受けたのは仕事場の事務室で、ひと目はばからずに泣いた。
肺がんで闘病が長かった。
当時入院先の病室には10年日記が置かれていて、一度は現場復帰を果たすものの、兄を肺がんで亡くし、おふくろ、家を出ていた父もみおくり、自分の死と十分向き合ってきた。修さんとは奥さんの貴美枝さんが浜美枝さんのマネージャーをされていた縁から付き合いが始まった。
新婚旅行が湯ノ花温泉で、近くのスナックに飲みに出で宿に鍵をかけられた事が何時も酒の肴となっていた。その後はたびたび仲間を連れられ舘岩に来ていて、ボンベを伴った「夏」が最後となる。
二人目は和平さんだ。田崎さんからの一報は車の中。まだ内密と聞かされていたが職場に戻るとネッツトに流れていると知らされ「本当?」と聞かれたものだ。
雑誌の取材からの付き合いは「舎弟」とまで呼んで頂くようになり、宇都宮市にもない「和平文庫」の開設も快く認めて頂き、新しい机は舘岩産の栃の一枚板で作らせてもらい、恵比寿で長く使われた机は文庫で眠っている。
当たり前なのだが、両名の家族と現在も親交が続いている。
これから忘れられない「命日」の日数が増えるだろうが、またそれもしかたのないことだ。
『氷点下18℃』
「凍みたなぁ~。」「感じたなぁ~」。ここ数日一番の冷え込みの朝の会話だ。
寒い朝は空気がキラキラと地元の人さえも冬景色をきれいに感じる。国道に取付けられた温度計もマイナス表示が続いていて、通勤時に表示を確認することも日課となる。
南会津町は合併町村なので面積も広く、同じ町でも気象は随分異なり、特に田島の方は西部劇ではないにしろ、田島地区を東部、舘岩・伊南・南郷地区を少し見下したように西部と呼ぶ場合がある。中でも標高の高い舘岩は寒い。冬の間-10℃くらいは当たり前で―15℃くらいから「凍みたぁ~」となるようだ。0℃なら今日は「暖かいなぁ~」となり、幾度かの屋根の雪下ろしをしながら「寒」が過ぎ、春が来ることをひたすら待つわけである。
『遠雷忌』
立松さんの三回忌の席で、また集まり「偲ぶ会」をやろうじゃないかと、有志の方々が、「遠雷忌」と言うことにし、毎年2月第一土曜日、上野下谷法昌寺で行う事になったが、
今年は命日の8日が土曜日のこともあり第二土曜日の開催となる。8日は、前沢で「ほのぼの窓あかり」として、集落の有志に屋内灯、ろうそくなどを点灯して頂き、冬の夜景を楽しんで頂く事としていたので参加は無理となるが、文庫で和平さんを偲び「朗読会」を予定する。
どこにいても2月8日は、和平さんを思い、語り、盃をかたむけているに違いない 。