「家の中の嵐」 | |||
夏休みになって、我が家は大変なことになっている。北海道に住んでいる長男が、都合が生じて2人の子供と犬1匹を預かってくれと突然いってきた。 妻は大学の通信教育のサマースクールにいくことになっていて、私も旅行はあるし忙しい。だが息子がずいぶん困っている様子なので、妻は預かってあげようという。つまり、1年に一度の楽しみのサマースクールを犠牲にしようというのだ。 日曜日の昼頃、私は車を運転して妻とともに羽田空港に迎えに行った。夏休みの混雑のため高速道路は渋滞し、駐車場にいれるのは1時間待ちということで、それだけで疲れてしまうのだ。 長男の子供といえば、妻と私にとっては孫ということになる。ふだん遠く維れて暮らしているので存在を気にすることはほとんどないが、目の前にきてみると、孫は孫ということになる。 いつもは妻と私だけの生活だから、ものを書いたり本を読んだりと好きなように自分の時間を使うことがでさる。だが5歳と3歳の幼児がいると、食事だ、トイレだ、遊びだ、昼寝だと、たえず手を貸してやらなければならず、息つく間もない。家の中に嵐がやってきたようなものだ。 おまけに犬まできたので、4匹いる家の猫がおびえて姿を隠してしまい、餌も食べにこない。そのことも心配だし、犬が夜中や早朝に吠えたりして近所迷惑である。緊張し、まわりに気を遣った妻は、朝、まったく眠れなかったと疲れ切った顔をしていた。1週間の予定で、まだ第1日が過ぎただけだ。先が思いやられ、子育てとはこんなに大変だったのかと思い知るばかりである。本音をいうなら、私は早く静かな生活に戻りたい。誰にも邪魔されずに本を読み執筆できる生括は、なんとありがたいことか。
絵:山中桃子
BIOS 04.7.20 |
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