「キャンドルマイト」
 昨年やったことであるが、今年の夏至の日にも、「百万人のキャンドルナイト」のイベントをすることにした。要するに夜の8時から10時までの2時間、身のまわりの電気をできるだけ消そうということである。
 今年の夏至は6月28日で、月曜日である。みんなが生産活動をしている日に、夜の2時間も電気を消そうと呼びかけても、応じてもらえるわけではない。そこで前々日の土曜日からイベントがはじまるとし、メインイベントを27日の日曜日に設定した。
 昨年は芝の増上寺でロックコンサートをし、入場無料だったのでたくさんの人が集まった。コンサートが終わると潮が引くように人が去っていったが、それでもまだたくさんの人が残っていて、その場で午後8時に向けてカウントダウンをした。5、4、3、2、1と数えていき、ゼロとやって、本当に東京タワーが消えるのかと心配した。消えたのである。感動し、闇が美しいと思ったものであつた。
 今年は芝申プリンスホテルのチャベルの前庭がメイン会場である。各地で同様の催しが開かれ、ネットで結ばれている。メイン会場の背後には東京タワーが燦然と輝いている。昨年環境省は途中参加だったのだが、今年は最初から全面協力である。環境大臣も会場に現れた。モーニグ娘の二人もやりてきた。去年とは違う派手さである。みんなが簡単にあいさつをした後、カウントダウンとともに東京タワーの灯が消えた。札幌の時計台も、大阪城も、首里城も、全国2万5千箇所の施設のライトアップが消される。大阪名物の道頓堀のグリコのネオンも、カニ道楽の看板も、通天閣もである。その規模は前年の5倍になった。
 少しは日本の夜が静かになったと思いたい。未来についてみんな深く考えたと思いたい。
絵:山中桃子
BIOS 04.7.20