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『宗次郎さん』

 夕暮れまじか、家の前で農作業後の洗い物をしていたら、ひょんなことにオカリナ奏者の宗次郎さんが古民家群の写真撮影のために来られたという。
  和平さんの毎日新聞出版記念会の席で紹介頂いた縁から、何度か話す機会に恵まれて舘岩でのイベントの際の演奏もお願いした。田代山山頂での演奏は雨でかなえられなかったが会館でのオカリナの音色は参加者を魅了した。縁が縁を呼び、宗次郎さんは尾瀬の番組で燧ケ岳にも登ることとなり挿入曲も創作している。オカリナも自分でつくられ、コンサートなどへの移動の際には、曲目に併せてジュラルミンケースで移動される。
  家の中に上がって頂き、まだまだ整理はされていないが、本棚に並ぶ立松出版本と出演DVDなどをご覧頂いた。
「知床や、他の場所でも立松ファンによる収蔵を見てきたが、ここまでそろっているのは初めて見た」と話され、しばし和平談議となる。郡山出身の写真家須賀さんの「冬の前沢集落夜景」の写真を見ながら、今回のCDの中に、是非とも前沢の写真も使いたいとの事だったがどうなることやら楽しみに待ちたい。


『新蕎麦の季節』

 今年も3反の蕎麦の作付をしたが、7月下旬は日照りで芽だしが悪く撒き直しをした。 30㎏用米袋に23㎏で反3袋として200㎏を予定している。蕎麦粉にすれば3割減の140㎏の収穫を見込んでいて、自家用、贈答用でほぼ使い切る。蕎麦刈・乾燥は農業公社にお願いしているので、標高の高い所、撒き順、実りの様子で皆順番待ちだ。公社の蕎麦刈作業も続いているさなか、宇都宮の戸崎さんから友人が新蕎麦を食べたいと電話が来た。 町の新蕎麦祭りは10月中旬以降に開催されるが、蕎麦祭りの時は、お客の都合でなく主催者の都合で、蕎麦もゆでられていくのでなかなか旨いそばにあたらない事も多く、彼らは祭りには参加されないでゆっくり味わうこととしている。週末に来たいとのことで、公社に一番刈りの蕎麦の出来具合を尋ねたところ、25日には何とか乾燥が終わるそうで、1袋交換して頂き湯ノ花温泉の山楽さんに持込み間に合う様挽いて頂く事とした。蕎麦通には新蕎麦の時期は別格で、ひと段落つくまではどこどこ産を食したと梯子される方も多い。歌舞伎座の支配人だった大沼さんからも、前回同様に高輪の自宅で友人を招いた蕎麦会の開催を打診されている。10月は法事が3件あり、11月にも婚礼、法事と週末の予定がなかなか取れなく、出張蕎麦会の要望にはなかなか応えられないでいるが、「裁ち蕎麦」の魅力を80歳過ぎても「舘岩蕎麦」の名人星キミエさんが元気なうちに、遊山として少しでも新蕎麦を携えての巡業をして行くようにしたいと考えている。

『野ぶどう酒』

 先日置き薬の「三光丸」さんが今年最後の配置薬の交換に来た。昔は近くに薬局も無いことから、この地区のほとんどがお世話になっている馴染みの薬屋さんで、子どもの頃はサービスの風船が楽しみだった。三光丸は、飲みすぎ・食べすぎ胃腸の万能薬としてよく効く常備薬、昔の五角形のパッケージから現在は一回りも小さな長方形に変更されていて、最近は相撲の懸賞でテレビにも映っている事から全国的知名度もアップしているそうな。その三光丸さんも驚くのがこの地区の薬酒の数。熊胆、マムシ酒、山葡萄酒はもとより、山梨、グミ、カリン、オトギリソウ、メグスリノキ等々、誰かが「効いた」と聞けば流行りにな35℃の焼酎が店先から無くなる。三光丸さんもよく効能を聞かれ困惑することも多く、最近流行りの「野ブドウ酒」もその一つ。「野ブドウ」は色々な呼び名があり、ここでは実がブルーに熟すことから「猫の目」などと呼ばれているし、馬ブドウ、蛇ブドウ等各地区でそれぞれの呼び名があるようだ。出版されている本によれば、特に肝機能関係の効果があるように書かれているが、「癌」に効いたとの話は、一升瓶3万円もの値段がつき、どこでも見られた「野ブドウ」は、実だけでなく、葉や茎も陰干してお茶にも出来ることから、今では探すのにも苦労するほど乱獲だ。まんざら嘘でもなく「癌」ではないにしろ身内で改善が見られた症状もあり、毎年頼まれて「野ブドウ酒」を漬けていることも現実で軒先で植栽も始めている。薬事的な「野ブドウ」の効能はどうあれ、昔から伝えられる山や川からの恵、自然界の治癒する力は伝承として大切にしたい。


『こころと感動の旅「南会津 舘岩村」』1989.2.8

 来年度、福島県の大型観光キャンペーン事業を計画していることからか、前沢集落にもテレビ番組の撮影隊が頻繁にやってきている。多くは会津若松や、尾瀬番組撮影での通過点に「こんな集落があります。」くらいのチョイ撮影だ。それでもテレビに映ったとなれば役場では撮影日のお知らせを回す。丁度、囲炉裏に炭を焚き鉄瓶でメグスリノキのお茶を沸かしていたので一行と話す機会に恵まれた。カメラマンが家の本棚の和平本と出演DVD目録の中から憧れていたニュースステーションを見たいと言う。ニュース番組では珍しい10数分にも及ぶ「和平節」のビデオが終わると彼らは拍手した。「いいなぁ、まさに感動だ。」 テレビの取材クルーにも感動を与えた、当時の撮影スタイルと和平節。その映像も多くの方が出演した貴重な資料である。「政一さん、この映像は流しておくべきだよ、この映像を見なければ、舘岩や前沢集落の価値が中々理解されないよ。」茅葺屋根が多く残る大内集落は年間多くの観光客を呼んでいるが、前沢や水引集落も建築物建物群としての価値はあれ、誘客力には足元にも及ばない。「ここは人がいなくて絵を描くにはもってこいだよ。」画家写真、建築家さんに喜ばれてもそれでは茅葺き集落は守れない。独りの限界があるにしろここに人を呼ぶことの出来るヒントがこの映像にあるように思われる。